野宿女子が問う、クリーン社会の代償
現在観測 第18回
天敵は「最悪いす」
わたしがすっかり野宿にハマったのは17歳の夏(なんとなくよい響きであります)。
一か月半ほど本州を徒歩で縦断する野宿旅行をして、あちこちで眠る楽しさに目覚めたのですが、当時は列車が通っているところではなるべく路線に沿って歩き、夜は無人駅の駅舎にお世話になっていました。雨風がしのげて、水場とトイレ、駅前には商店がある。そんなスバラシイ駅に「駅よ、ありがとう!」と思い募らせ、「駅のいすって色々あるんだな」としみじみ体感。その夜のベッドになるため、寝心地に直結するいすが重要だったからです。
いすのタイプは、ざっくり分けると3つ。タイプ1:待合室の壁にコの字型やL字型につくりつけられた長いす、タイプ2:4人掛けくらいの大きさのいす(それぞれ木製とプラスチック製のものがあって、木製の方が寝心地がイケてます)、それからタイプ3:プラスチック製の一人用のいすがいくつも並んでいるものです。
一人用のいすは、ひじ掛けがないものは寝ようと思えば寝られますが、ひじ掛けが付くときびしく、これは巷(おもに駅寝愛好者の間)で「最悪イス」と呼ばれています。
わたしが10代の頃はひじ掛けがないものが多く、付いているものに出くわした記憶はありません。しかし駅舎の立て替えに伴って勢力を拡大していったようで、いまではかなりの確率で、このひじ掛け付きを目にします。